米紙「ニューヨーク・タイムズ」はこのごろ、アマゾンが全従業員の約3パーセントにあたる1万人の従業員削減を計画していると伝えた。人員削減の対象となるのは、音声補助システム「Alexa」の開発などを含む端末生産部門のほか、小売り部門や米国やインドにある人事部の一部にも及ぶという。現在、アマゾン側は退職希望者を募っているが、集まらなかった場合は年明けにもリストラに着手するとみられている。
リストラ騒動の一方、同社の内部文書の流出で波紋が広がっている。「Vox」の報道によると、アマゾン社は少なくとも昨年から採用担当者の仕事をAIに任せるようになっていた。このAIは求職者の適正を判断し、採用担当者の関与なしに面接までの人選を行うもので、「自動求職者評価(AAE)」と呼ばれている。求職者と社内でパフォーマンスの高い従業員との類似性を見つけて、最適な人材を見つける機能さえ備わっているという。
同社は2010年代にもこうしたAIの開発を行ってきたが、AIが女性に対する偏見を持っていることがわかり頓挫していた。その後、改良を重ねてAAEにつながったという。AAEの登場はアマゾンの人事部の役割が恒久的に変わることを示唆し、従業員も削減される可能性がある。
このニュースにインターネット上では「ロボットは人間みたいに悪さはできない」「そもそもリクルーターが技術者の採用に資することは少ない」とAIの活用による効率化や公平性の担保を評価する声があがった。
一方、「人々を解雇させるテクノロジーはいいものではない」「数年後にはAAEが業務に最適なAIロボットを採用することになるでしょう」と人間の仕事を奪うAIの台頭に困惑するコメントもあった。科学技術の発達によってAIが人に替わる日がすぐそこまで迫っているのかもしれない。
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