「当行の現時点での予測は、パンデミック前のインフラのない動きに戻るというあらゆる推論に異議を唱えるものである。回帰は不可能だ。我々は戦争経済のフェーズに突入してしまったのだから。世界の各大国があらゆる面で国家安全保障を強化しようとしている。軍事部門であり、サプライチェーンであり、エネルギー安全保障であり、さらには金融安全保障に至るまで」とサクソバンクのスティン・ヤコブセン投資ディレクターは予測の全体像を語る。というわけで「衝撃的な予測」のうち3つは、アナリストらの言葉を借りれば、ウクライナ軍事紛争によって1945年以来見られなかった規模の軍事経済の考え方が復活してしまったことに起因する。
EU軍が創設される。
英国は2023年にブレグジッド(EU離脱)取消の国民投票を行うかもうしれない。
エマニュエル・マクロン仏大統領が辞任する。
「戦争経済」は政治だけでなく、経済でも感じられるだろうとサクソバンクは考える。これにより次が予測されるという。
億万長者が共同で、原子力研究と原子爆弾開発の「マンハッタン計画」に匹敵する、新エネルギーの可能性を研究する1兆ドル規模のプロジェクトを立ち上げる。
サクソバンクは、インフレ圧力と地政学的不安定が引き続き金融市場にも影響を与えると予測し、これにより以下の動きが起こるという。
公的インフラを抑制するため広範な価格統制が敷かれる。
金の需要が高まり、1オンス3000ドルまで価格が上昇する。
日本は自国金融システムを安定させるためにUSドル‐円の通貨ペアを200円に固定。
タックスヘイブン、つまりオフショア企業対策が強化される。
USドルやIMF(国際通貨基金)離れが進み、独自の準備資産と通貨をもつ国が増える。
OPECプラスと中国はIMFから離脱し、貿易用の新たな準備資産を作る。
2023年は最も活発な気候政策競争が続くという。
少なくとも一カ国は肉生産を止める国が出てくる。