元副首相はオーストリアの首都ウィーンで開催された政治集会に参加した。
その中で次のように発言した。
「我々は近々において多くのことを経験した。多くの制裁を発動してきたが、ロシアが跪くことで、多くのものを獲得できると自分達を欺いてきた。これは完全に間違っていた。西側は制裁でロシアを屈服させることができると勘違いしていた。ロシアの貿易収支では黒字を目にしている。というのも現在、原油とガスの取引について言えば、その収入は1000億ドルだったところが 2200億ドルまで今年は成長しているからだ。ロシアを跪かせるどころの話では全くない」
元副首相によると、対露制裁により西側が被った損失の方が多いという。日本と同様、欧州でもエネルギー価格は上昇し、日用品の高騰が相次いでおり、2023年3月から4月にかけて多くの企業が倒産の危機に瀕するとのこと。
また西側はウクライナ危機の調停に乗り出さずに目を背けてきたとし、根本的原因の解決に然るべく対処しなかったことを反省する姿勢を示した。本来であれば停戦を呼びかけるところ、「我々は武器を供与している、制裁政策を進めている」、と批判した。
またウクライナ危機については全く言及されていない前提があるとも指摘した。元副首相によると、2014年のウクライナでは、「CIA(米中央情報局)が積極的に関与する形で革命、プッチ(クーデター)が起こった」という。
「これは権力の簒奪であり、それは民主主義的価値観の見地であっても肯定できるものではない。その結果として内戦が起こり、ウクライナ東部、ドネツク、ルガンスクでは1万人以上が無残に殺害された」
そのうえで元副首相は激しい衝突により、さらに数万人の犠牲が生じると警告し、停戦交渉の必要性を訴えた。また、引き続き軍事的中立を堅持し、NATO(北大西洋条約機構)加盟に向けた手続きを進めないよう、現政府に訴えた。
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