同紙によるとベアボック外相は、ドイツ外務省本館にある「ビスマルクの部屋」を「ドイツ統一の間」へ改名しようとしている。
ビスマルクの末裔の代表、アレクサンダー・フォン・ビスマルク氏は「ビスマルクの子孫は驚き、酷く落胆している」と話し、ベアボック氏には「歴史の意識がない」と糾弾する。
ビスマルクの末裔らは次のような声明を出している。
「外務大臣は自らの職務をやってのけることができないようだ。彼女は他国とのネガティブな関係をつくったのみならず、自国の歴史を毀損しようとしている。ドイツに現代まで利益をもたらし続けている初代首相の業績が無視されている」
ビスマルク
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ビスマルクはプロイセン王国の地主貴族の家に生まれ、代議士、外交官を経て1862年にプロイセン国王ヴェルヘルム1世から首相に任命された。普墺戦争・普仏戦争などで勝利し、現在のドイツの原型をつくった。
その政治、軍事的手腕から「鉄血宰相」の異名も持つ。反体制派を厳しく取り締まる一方、近代化改革を推し進め、世界に先駆けた国民皆保険制度を創出するなど社会政策にも力を注いだ。
また、卓越した外交力で、19世紀の欧州に「ビスマルク体制」と呼ばれる外交関係を築いた。1890年に失脚するまでドイツ帝国の首相も兼任した。