太平洋の熱帯地方にある島々は今から約3300年前に始まった、2度の大移動の結果、人間が住み着いたとされてきた。最初に住み着いた人間たちはフィリピンからの北からのルートで、第2の波の人間は台湾やニューギニアからの南からのルートでミクロネシア諸島に入った。今回見つかった新しいデータでは、この2つのルートをたどった人間たちが互いに交流していた可能性が示唆された。
研究チームはミクロネシアのコスラエ島とポンペイ島のマングローブの森から堆積物サンプルを採取。その結果、太平洋の熱帯地域の大部分では過去5000年の間に相対的な海面レベルは低下しているにもかかわらず、放射性炭素年代測定では海面は4.3メートル上昇し、島が沈んでいることがわかった。
調査によれば、ポンペイ島の海岸の近くにある、古代の石造りの人口島群「ナンマトル」の遺跡は長い間、運河で隔てられた小島で、そこにある建物は約1000年前に建てられた行政または宗教用の施設と考えられてきた。しかし、海抜の高さは長期にわたって比較的上昇していたことから、ここに運河があったとするのは誤りで、ナンマトルを「太平洋のヴェニス」と表現するのは正しくない可能性がある。また、この島々への最初の移住者は、同時期の太平洋の他の島々と同じく、海岸部に住んでいた可能性も指摘されている。海面上昇により古代の遺跡が水没してしまったため、ポンペイ島の集落の年代は完全には明らかにされなかった。
研究者らの仮定は将来、他の考古学者が水中に埋没した海岸部を調査した結果、確証される可能性がある。
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