「NORAD Tracks Santa(サンタ追跡)」は弾道ミサイルや戦略爆撃機の早期警戒、監視を任務とする米国とカナダの合同組織であるNORADが毎年、クリスマスに行っているイベント。
サイトのデータによると、サンタは日本時間24日午後10時ごろ、ロシア極東のハバロフスク地方上空を飛行。また、その前後にはサハリン島や南クリル諸島のイトゥルップ島(択捉島)などにも飛来し、子どもたちにプレゼントを届けた。
ロシア極東でプレゼントを配り終えたあとのサンタは、午後11時ごろに日本にも訪れた。サンタは自衛隊が駐留するのみで子どもが居住していないはずの太平洋上の硫黄島を経由し、北海道まで一気に北上したあと、一転東京へ向け南下する変則軌道をみせた。
サンタは札幌から800キロ以上離れた東京までを約2分半で飛行するなど高速で日本列島を縦断。時速換算では毎時約48000キロ(約マッハ38)で、これはロシア軍の最新鋭弾道ミサイル「サルマト」の最高速度とされるマッハ15の約2.5倍にあたる。
その後、金沢、名古屋、京都、広島、下関、長崎、那覇をめぐったあと、東シナ海を北上し韓国へ向かった。
経由地点の選択について詳細は記されていないが、今年の飛行では大阪や福岡、仙台といった大都市は含まれていない。一方、米国が原爆を投下した広島・長崎のほか、故・安倍晋三元首相の地元・下関、在日米軍基地が多い沖縄県を回っている理由は、サンタのみぞ知るといったところだろうか。また、報道ベースではJアラートの発動はなかった模様。
日本時間25日午前1時すぎには、世界最大の人口を抱える中国での配達を終え、それまでに計17億以上のプレゼントを届け終えたことになっている。
「NORAD Tracks Santa(サンタ追跡)」は1955年、米コロラド州のデパートが子供向けに「サンタクロースへの直通電話」を設置したときに、広告に誤った電話番号を掲載してしまったことが発端。電話がつながった先はNORADの前身にあたる「CONAD (中央防衛航空軍基地)」の司令部のホットラインだった。
当時の司令官ハリー・シャウプ大佐は、サンタが北極から南に向かった形跡がないか部下にレーダーで確認を命令。電話を掛けてきた子供たちにサンタの現在地の最新情報を順次伝えたことから、この伝統が生まれたという逸話がある。現在では携帯アプリやパソコンからもサンタの位置が確認可能で、日本語を含めた多言語対応となっている。
ロシアでもこのごろ、デッドマロース(ロシア版サンタクロース)が飛行機に乗ってプレゼントを届けている。