CNNは、米国の宇宙技術企業「マクサー・テクノロジーズ」が提供する衛星画像に基づき、ロシアが2022年の間に北極圏における複数の軍事基地や飛行場を改良・拡張したと報じている。ロシアの戦略上重要な北極圏防衛の強化は、「ロシア政府が資源の面で深刻な緊張状態にあるときでさえ」続いているという。同社が提供する衛星情報では、ロシアの国境北部ではレドーム(レーダーステーションを保護するもの)が建設され、北極圏の軍事飛行場では既存の飛行場を拡張させている他、新しい滑走路の建設が行われていることが分かっている。
CNNによると、北極圏はロシアの石油・天然ガス産業だけでなく、ロシアの核兵器にとっても重要な地域であるという。核兵器のかなりの部分と、その使用準備が常に高い潜水艦インフラがあるためだ。
同メディアが報じているように、北極圏の氷が急速に溶けていく中で、北極は東南アジアと欧州を結ぶ有益な海上回廊になりつつある。北極海航路を通ると、スエズ運河を通る場合よりも約2週間早く、ある地域から別の地域へ移動することができるという。北極海航路の大半はロシアの国境沿いを通るため、ロシア政府は北極圏での支配に新たな関心を抱いている。
CNNによると、ロシアの北極圏における軍事力増強に対抗して、NATOは北極圏でのプレゼンスを倍増させることを決定した。NATOはノルウェー領を発射台の設置位置に選び、現地では今、米国の「B-52」爆撃機が上空を自由に飛び回っている。また、米国の特殊作戦部隊はロシア国境近くのノルウェー領で、輸送機の空中投下プラットフォームから巡航ミサイルなどを発射できるシステム「ラピッド・ドラゴン」のテストを実施し、成功を収めている。フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟した後は、北極圏の8大国のうち7カ国がこの軍事同盟に加盟することになる。
スプートニクは以前、米軍特殊部隊の輸送機「C-130」が北極上空で挑発的な飛行を行い、長距離ミサイルを投下してロシアに脅威のシグナルを送ったと報じた。
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