アッシュバッハESA事務局長はフィナンシャルタイムズ紙からの取材に、欧州は現在、衛星ロケット打ち上げ市場で失った競争力を回復する必要があるとの認識を示した。
ESA事務局長は、欧州は衛星打ち上げサービスでは市場志向型のアプローチが必要であり、競争力を維持するためには欧州のロケットシステムをどこでどのように建設するかを決定する権限を民間部門に与えねばならないという見解を示した。
「欧州は、ロケット打ち上げの部門で危機に直面している。ただでさえ悪い状況を放置すれば危機は一層深刻化する。将来どういう打上げシステムを作りたいかを真剣に考える時だ」
アッシュバッハ事務局長は、「競争による商業部門を持つべきだ。ESAは打上げ実現のためのソリューションを提供を行うが、クライアントとなるのはESA自身だ」と説明し、打ち上げのシステム開発をESAが管理するのではなく、NASAのように特定のサービスを購入する改革を望んでいると語った。
フィナンシャルタイムズ紙はこのESA事務局長の発言について、12月、仏領ギアナのクールー発射場でESA開発の低軌道用人工衛星打ち上げロケット「ヴェガロケット」打ち上げ失敗が背景となったものと報じている。運営機関のアリアンスペース社は打上げ失敗の理由についてエンジンの不具合による墜落と発表した。
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