【解説】ヘリ墜落で宇内相が死亡 問題だらけの仏ヘリがなぜウクライナにあるのか

1月18日、ウクライナのブロヴァルィーでヘリコプターが墜落。子どもを含む14人が死亡、児童11人、大人14人が負傷した。ウクライナ空軍司令部によると、墜落したのは仏機のスーパープーマで、仏からウクライナ内務省と国家緊急事態庁に納品されたヘリコプターのうちの1機だった。この墜落を受けて、スプートニクは軍事・技術専門家のエヴゲーニー・マトヴェーエフ氏に取材し、仏のスーパープーマH225ヘリコプターの問題のある過去について話をうかがった。
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ウクライナ政府は世界屈指のヘリコプター製造大手「エアバス・ヘリコプターズ」(本拠地は仏)との間に、ウクライナの公務員向けとしてヘリコプター55機の供給契約を締結した。
ウクライナのブロヴァルィーでヘリコプターが墜落
当時、ウクライナが保有していたのはソ連製のMi-8ヘリコプターで、その入れ替えが決定されたわけである。ウクライナ当局は、この契約締結によってウクライナはロシアから技術的に独立できるとの見解を表していた。
ウクライナ首都近郊でヘリ墜落 内務相ら14人死亡
マトヴェーエフ氏は、供給された55機のうちの21機はロシア・ソ連のMi-8より性能が劣るH225(スーパープーマ)だった事実を指摘している。

「 彼ら(ウクライナ:編集)はロシアのものは『悪い』、仏のものは『良い』と決めつけて(ロシア製ヘリコプターを:編集)拒んだ。御覧の通り、この札はこれから『本領』を発揮するだろう。だが、仏のプーマがロシアのMi-8に劣る点は間違いない。ロシアのヘリはサイズも大きく、積載量も向上している」

スーパープーマ 問題続きの過去

スプートニクのマトヴェーエフ氏への取材で明らかにされたところによると、仏のスーパープーマは、計画自体は45年前に練られていたものの、ごく最近までモデルは製造されなかった。2000年に初飛行が行われたが、2009年にはすでに問題が発生しはじめたため、当初はあまり注目されなかった。
「このヘリコプターは主に海上で、石油作業員を洋上プラットフォームまで輸送するために使用される。最初に起こした事故はあまり注視されなかった。2012年に再び事故が発生した時は、乗員乗客19人は全員救助されている」
マトヴェーエフ氏の話では、ヘリコプターに欠陥があるという疑いは、2016年、ノルウェーで墜落事故が発生した時に決定的に確証された。「当時、ローター、つまりヘリの羽根が機体から分離し、ヘリコプターは墜落。乗員乗客12人全員が死亡した」
結局、原因はメインギアボックスのピニオンの亀裂、つまり疲労亀裂だった。
「これは設計・製造上の欠陥 だ。問題をやっと明らかにすることができたものの、2012年から2016年の間は利用する側の石油会社がこのヘリコプターには乗らないと拒否するにまで至った。こんなわけでヘリコプターを欲しがる人はいなくなり、さらに、2014年、原油価格が下落が追い打ちをかけて、150機以上のヘリコプターが売れずに放置されていた」
マトヴェーエフ氏の話では、これらのヘリコプターは全機が仏の銀行の所有で、最終的には売却先探しが始まった。なぜならヘリコプターを置いておくのは飛ばない状態でもあまりに高価で、その費用はカバーのしようがなかったからだ。
「このため、ヘリは捜索救助用へと用途替えが行われた。ウクライナの保有するロシア製のヘリを仏製と入れ替える案はまさにその時に浮上した」
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