問題になっているのは、10日にリトアニア教育科学スポーツ省が発表した声明。ロシアとベラルーシのスポーツ選手らをパリ五輪から排除するよう求めるもので、30カ国以上が賛同したという。支持を表明した国のなかには、日本のほか米国、ドイツ、カナダ、ポーランド、オランダ、オーストラリアなども含まれていた。一方、支持を表明したのは政府代表、担当閣僚らであり、各国の五輪委員会は別の見解を持っているケースもあるとみられる。
IOCは公式サイトで公表したロシア選手らの大会参加やウクライナをめぐる問題の「Q&A集」のなかで、西側諸国の声明について次のように指摘している。
「バルト諸国など一部の国からの(編注:ロシア選手の五輪参加を)懸念を示す声明があった。残念なことに、彼らは人権を遵守するという問題に触れていない。彼らの懸念を真剣に受け止める必要はあるが、最終的に誰が出場できるかを決めるのは政府ではない。なぜなら、そうでなければ我々が知る世界選手権や五輪などの国際スポーツ大会は終焉を迎えるからだ。我々はすべて考慮するが、対立やエスカレーションを強めるのでなく、スポーツの使命である団結という形で帰結するように解決策を探す」
ウクライナがボイコットも辞さない構えでロシア選手らの五輪排除を求めていることに対しては「ボイコットの議論がエスカレートしていることは非常に残念」とした。また、昨年9月に発表されたIOCの特別報告を引用する形で「ロシアやベラルーシの選手や審判らを国籍のみに基づいて国際大会から排除することには重大な懸念を表明する。これは差別の禁止に関わる深刻な問題を引き起こす」とも強調している。
これまでに、IOCのトーマス・バッハ会長もロシア選手の復帰に関して政治が介入しないよう呼びかけていた。
国際オリンピック委員会(IOC)の執行委員会は1月、ウクライナ情勢をふまえ大会から排除されているロシアとベラルーシのスポーツ選手について、ロシア軍の特殊軍事作戦を支持しないことを条件に中立ステータスのもと参加を認めることを検討していると明らかにした。
関連ニュース