杉浦氏は、ロシアが3月から日量50万バレルの減産を行うと発表したことについて、あくまでも個人的な考えと強調したうえで、次のようにコメントした。
「OPECプラスはこの部分を増産で補うことはしない。こういう形で世界原油市場の供給は1日50万バレル削減することになる。一方で、原油国大手である米国が日量50万バレルの増産をすれば、世界の供給量は変わらない。
米国が増産に踏み切らない場合は、需要が変わらないという条件の下で原油価格が上昇する可能性がある。そのため、今後の原油価格変動を予測するには、需要がより重要なファクターとなる(以上、ロシア語からの翻訳)」
杉浦氏は、現時点では米エネルギー情報局(EIA)によると、原油価格の短期予測は、需要と供給は、倦怠気味になるが供給が増えるため、価格は降下傾向になるとみる。
「このように、ロシアが日量50万バレルの減産にふみきっても、供給の観点で言えば、いずれにしても価格低下の傾向が予測される。需要の観点では、原油需要が回復するかどうかは中国経済にかかってくる。中国での石油、つまり原油と石油製品を含めて需要が回復すれば、原油価格は上昇するだろう。経済回復が遅れる場合は、価格は停滞する。つまり、ロシアが日量50万バレルの減産をした場合でも、価格への影響は考えにくい(以上、ロシア語からの翻訳)」
杉浦氏は、ロシアの生産量が日量1000万バレルだとすれば日量50万バレルは全体の5%だが、世界全体の生産量は日量1億バレルのため、50万バレルはわずか0.5%にすぎないと説明する。
「別の言い方をすれば、大きな影響はないだろう。中国の原油需要のほうが、日量50万バレルの減産よりももっと大きな影響を与えると思う。ロシアが50万バレルの減産をしても、予測としては、世界需要と供給にはほぼ影響しないということになる(以上、ロシア語からの翻訳)」
ロシアのアレクサンドル・ノバク副首相は2月、ロシアは3月から自発的に日量50万バレルの減産を行うと発表し、これが市場回復を促すだろうとの考えを示した。今後については市場の状況を見て判断するとした。また、西側諸国によるロシア産の石油製品への上限価格設定措置については、対抗措置を検討中としている。
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