ピボディ氏は現在、WHO欧州・中央アジア事務所で脅威の高い病原体を監視する部署の責任者を務めている。ピボディ氏は「El Pais」のインタビューで鳥インフルエンザの危険性について次のように述べている。
「鳥インフルエンザウイルスはヒトからヒトへ持続的に感染する能力を得る危険性があり、新たなパンデミックを引き起こすかもしれない。我々は備えなくてはならない。科学界はウイルスを監視し、必要であればワクチンを開発するため、ウイルスの遺伝子配列を研究している」
また、ピボディ氏は全世界で数百万の野生、家畜の鳥を死に至らしめた鳥インフルエンザの新しい波は、2~3年前に出現した特別なタイプのウイルス株「A(H5N1)」が原因だと説明し、次のように続ける。
「私は常に注意しなくてはならないといいたい。重要なのは死んだ鳥や死にかけている鳥、ほかの動物を拾わないこと。そして、鶏肉加工場で働く従業員がきちんと保護されることだ」
この問題は家畜の鳥を飼育することの多い、中所得以下の世帯が多い農村部で特に危険が指摘されている。高病原性鳥インフルエンザの発生は1996年に初めて報告された。2003年以降は、鳥と密接に接触した人々が感染する事例が確認されている。
直近では2月末、カンボジアで11歳の少女とその濃厚接触者である父親が、N5N1型の鳥インフルエンザに感染したことが確認されている。これまでのWHOの評価では、鳥インフルエンザは簡単にはヒトに感染せず、「ヒトからヒト」への感染も普通ではないとしているが、調査が進められている。
N5N1型は下気道を通って急速に広がるため危険で、ウイルス性肺炎や急性呼吸窮迫症候群を引き起こす。ヒトが感染した場合の致死率は50パーセント超といわれている。
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