最後の会合を終えた日銀の黒田総裁「2%の物価目標が持続的·安定的達成に至らなかった点は残念」

日本では10日午後、任期中最後の定例会合を終えた日本銀行の黒田東彦総裁が記者会見に臨んだ。黒田氏は会見で、10年間続いた大規模な金融緩和策が経済・物価の押し上げに対して効果を発揮したことや、女性や高齢者を中心に雇用が400万人増加した点を強調した。
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その一方で、黒田氏はこの10年間で2%の物価安定目標が実現に至らなかった点は「残念」だと指摘した上で、この目標が「賃金の上昇を伴う形で達成されるというものが少し近づいてきたとは思う」と述べた。さらに同氏は、依然としてさまざまな不確実性があるため、当面、現在の大幅な緩和を続けていき、企業が賃上げしやすい環境を整えていくことが重要だと語った。
また、金融緩和策によって生まれた副作用について記者から尋ねられた黒田氏は、「副作用といわれるものについて対応をとっているし、その副作用の面よりも金融緩和の経済に対するプラスの効果がはるかに大きいと思っている」と答えた。
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黒田氏は、安倍晋三内閣が推し進めた「大規模な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」、いわゆる「アベノミクスの3本の矢」に言及した。同氏は、「金融政策に過度の負担がかかったとは思わない。(中略)プラスの影響を持ったと思うが、かなりタイムラグがあり、すぐに効果が出るようなものでもない(中略)3本の矢でアベノミクスを進めたこと自体は正しかった」と述べた。
自身が進めた金融緩和策については「デフレではない状況になり、雇用も400万人以上増加した(中略)そういう意味では金融緩和は成功だったと思う」と述べた。その上で、異次元緩和の出口戦略について議論するのは時期尚早であり、新総裁と副総裁のもとで「そういう状況になったときに適切な出口がなされることになると思う」と指摘した。
日銀は10日までの2日間開いた金融政策決定会合で、現在の大規模な金融緩和策の維持することを決定した。長期金利の変動幅をプラスマイナス0.5%程度のままとし、マイナス金利政策や上場投資信託(ETF)の買い入れといった措置も維持する。黒田総裁にとっては任期中最後の定例会合となった。
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