大江さんは1935年愛媛県喜多郡大瀬村(現・内子町)生まれ。松山東高を卒業後、東京大学に入学。仏文科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で文壇デビューし、翌年に「飼育」で芥川賞を受賞した。「芽むしり仔(こ)撃ち」「われらの時代」「性的人間」「セヴンティーン」など話題作を次々と発表し、戦後の新しい世代の文学の担い手として脚光を浴びた。
1967年の「万延元年のフットボール」で谷崎潤一郎賞。1994年には日本人では川端康成に続き2人目のノーベル文学賞を受賞。「あいまいな日本の私」と題した受賞講演を行った。
ソ連およびロシアでは「洪水はわが魂に及び」「万延元年のフットボール」「遅れてきた青年」などが特に人気を集めた。大江さんの作品は優れた翻訳家で日本専門家のウラジーミル・グリヴニン氏の翻訳で広く読まれている。グリヴニン氏は大江さんとも親交があった。