ツボカビ症は両生類の皮膚表層に埋没した病原体「Batrachochytrium dendrobatidis(Bd)」による感染症。主にカエルやヒキガエルのほか、サンショウウオ、イモリなど両生類が感染しやすいという。感染した場合は皮膚の剥脱、活力低下、体重減少などを招くほか、最終的には心臓を止め死に至らしめる。幼生が犠牲にあることは少なく、主に成体にとって危険だという。
研究によると、科学者らはアフリカ全土における両生類のツボカビ症の事例を探すため、1852年~2017年と過去160年間の科学文献を調査した。また、1908~2013にアフリカ各地で収集された博物館の標本個体を対象に、PCR検査を実施してBd感染の有無を調べた。さらに、2011年~2013年に採集された1651匹の生体標本の皮膚も調べた。
調査の結果、1933年のカメルーンで初めてのBd感染が確認できた。2000年までの有病率は5パーセント未満だったのに、2010年には21パーセントに急増。一部の国では74パーセントにまで増加が確認されているという。
研究チームは気候変動によって引き起こされたストレスが、両生類のBd感染を促進しているとする仮説を立てている。この病原体を駆除することは不可能だが、環境破壊など自然への悪影響を減らすことで状況を改善できる可能性を示唆している。
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