原発は独のエネルギー主権保持のため
自由民主党のビジャン・ジール=サライ書記長は、今後数日のうちに実施される国内の最後の3か所の原発の閉鎖によって、ドイツはウクライナでのロシアの特殊作戦のような不測の事態が起きた場合、エネルギーの独立性の維持能力を失うと主張している。
同党のビジャン・ジール=サライ書記長は必要なのは原発の稼働停止ではなく、運用の改善で、そのためには核分裂と核融合の安全な新技術を研究するべきであり、また、科学的に算出した結果、ドイツはその気候条件から全面的に再生可能エネルギーに頼ることはできないことは証明済みと語る。
独エネルギー省は国のエネルギー供給の確保のためには原子力エネルギーはこれ以上必要ないとしているものの、独自由民主党は電気エネルギー価格の安定化のために最低1年は原発を稼働状態に置いておくべきと主張している。
独は福島の悲劇を繰り返すべからず
メルケル前政権では、原子力エネルギーは低炭素技術であり、再生可能エネルギーの出力増強と並行しつつ、過渡期に使用するという位置づけだった。ところが、日本の福島第一原発の事故によって独政府は原発に対する姿勢の抜本的な見直しを余儀なくされ、近い将来に原発を完全かつ無条件に放棄することを支持せざるをえなくなった。つまり、同盟90/緑の党の要求する国内に残る原子力発電所の即時停止という路線は、独政府の一般的な路線に則っていることになる。
同盟90/緑の党の代表らの主張は原発は運用にコストがかかりすぎ、コストパフォーマンスも高い補助金がなければ得られないというもの。独連邦議会の環境・自然保護・原子力安全委員会の委員長を務める、同盟90/緑の党の代表は、次のように述べている。
「事故のリスク、数十年にわたる解体作業、最終的な保管費用は大部分が社会が背負うことになる。原発の稼働期間を延長すれば、運営会社にはリスクと支出のコストを背負うわけで、結局、国に数百万ユーロの負担がかかる」
中国が進める原子炉を動力源とする月面基地の電力供給システム開発についてはこちらからお読みいただけます。
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