今月15日にカメラトラップが捉えた映像には、木の匂いを嗅いだ後、大きく口を引きあげて歯と舌を見せるアムールトラの姿が映っている。
こうした行動は「フレーメン反応」と呼ばれ、哺乳類の動物が見せる生理現象のひとつ。保護区の広報部の説明によると、哺乳類は舌を出し、上唇を持ち上げることで、鋤鼻器(ヤコブソン器官)という第二の嗅覚器官を使い、興味を持った個体の匂いを嗅ぎ分けるという。
また、フレーメン反応によって他の個体のフェロモンを認識することができる。このことから保護区は、このアムールトラが「花嫁候補の匂いを察知した」のではないかと推測している。
シホテ・アリン自然保護区はアムールトラ最大の生息地で、アムールトラ研究の中心地としても知られる自然保護区。保護区内にはアムールトラのほか、オナガゴーラル、ヘラジカ、ニホンジカ、ツキノワグマなどの希少な哺乳類が生息する。1979年、保護区はユネスコの「生物圏保護区」に指定され、その後、世界遺産にも登録されている。