「ブラジルやアルゼンチンなど、長い海岸線を持つ国は多い。インドネシアやマレーシアなど、島のインフラを持つ国も多い。そして、こういった国々はいずれも南か、寒冷な緯度に位置する国々なのだ」
リハチョフ氏によると、この事実がロスアトムに北方型と南方型の2種類の浮体式原子力発電所を開発することを促している。しかし、同氏の話では、ある技術面の解決策が、この2種類の原発の開発に役立つことになるという。
世界で唯一無二の原発
ロシア国外における浮体原子力発電所プロジェクトに関する話は、発電能力が70メガワットの浮体原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ」に関する文脈でなされた。このタイプの発電所プロジェクトの目的は、北極圏や極東の僻地に、年間を通じて熱と電気を供給すること。2020年、世界初の浮体式原子力発電所がロシア極東チュクチ自治管区で商業運転を開始した。この発電所は、ロシアで11番目の原発、そして世界最北端の原発となった。
同社の声明によると、このタイプの発電所プロジェクトは、大規模な産業企業、港湾都市、海上での石油・天然ガス生産・処理複合施設への電力供給に関係する可能性がある。また、このタイプの発電所は絶対的に安全であり、外部の脅威に耐える大規模な安全装置が備わっているという。
浮体原子力発電所は、原発を陸上に建設する上でその場所探しに問題がある国(特に島国)にとって、建設の可能性があるといえる。浮体式プラントのような小型の原子炉は建設期間が短い。そして、重要なのはコストが安いという点にある。さらに、このタイプの発電所は、発電や熱源として利用できるだけでなく、海水の淡水化にも利用できる。