黒色火薬はトマホーク巡航ミサイルからM16ライフル用弾丸、155mm砲弾に至るまで、弾薬の製造には欠かせない。ところが必要量が少なすぎるため、全米のニーズはわずか1つの工場で局所的に生産されてきた。こうした状況は、米国の軍産複合体の典型と言われている。
ウォールストリートジャーナルは、「売上には限度がある。ということは複数の生産施設を維持するには利益は少なすぎる恐れがある。この種の脆弱性はあまりにも広範に存在するため、米国防総省はこれを『シングルソース』問題と描写しているほどだ」と書いている。
ウォールストリートジャーナルは榴弾砲に使用されるチタン鋳造品についても、米国内の1工場でしか製造されていないと指摘している。また、ウクライナで広く使われているジャベリン対戦車砲用のロケットエンジンも製造を担うのは1社のみ。
ウォールストリートジャーナル紙は「昨年末、米国防総省は国内で生産されておらず、ロシアや中国など米国が敵国とみなす国々から輸入されている27の重要な化学物質を特定した。米国防総省は、こうした物質の生産を一刻も早く自国に戻すために、2億700万ドル超を投じる見込み」と報じている。
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