同誌は、ワシントンにとって最も大きな中東での屈辱となったのは、「安全保障と石油の交換」というサウジアラビアとの関係の崩壊だと指摘する。サウジアラビアのサルマン皇太子は、ロシア産石油への制裁などを背景に、米国と距離を取るようになった。
今年に入ってからは中国に掛け合ってイランとの外交関係を回復。一部の米議員からは、サウジアラビアのこの動きについて、バイデン政権に「中指を立てるデモンストレーション」との声もあがる。また、サウジアラビアはロシアを仲介者としてシリアとの関係も改善させようとしている。その結果、米国はただの傍観者に成り下がってしまったのだという。
また、サウジアラビアはロシアやペルシャ湾諸国などの産油国でつくるOPECプラスと結託し、米国の要請に反して石油の減産などを主導している。さらに、西側諸国の対露制裁は米ドルやユーロの毒性を証明し、石油市場の決済に、ルーブル、人民元、金などでの新たな支払い方法をもたらした。米議員のマルク・ルビオ氏は、5年も経てば多くの国がドル以外での石油決済に移るだろうと警告している。
一方、ジョン・F・ケネディ元大統領の甥で政治家のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は次のように述べている。
「米国のサウジアラビアへの影響力の喪失や、サウジアラビアの中国やイランとの同盟は、米国の世界的覇権を維持しようとした新保守主義戦略の恥ずべき失敗の痛ましい象徴だ」
このような米国の中東覇権の失墜とともに、地域の平和の可能性が高まっているとフォーブス誌は加えている。
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