ブルームバーグは、東欧諸国の一連の禁輸措置について「ウクライナにとって経済的に最重要な『救命浮輪』を脅かしている」と指摘している。
ポーランドでは政治家らがウクライナ支援によって自国民の支持が失われることを懸念している。安価な関税なしの穀物は、ポーランドの農業を破壊することにつながる。このため、自国民の怒りを抑えるため、ウクライナからの農産物の禁輸を決定した。
ポーランド与党「法と正義」のヤロスラフ・カチンスキ党首は、このウクライナ農産物に対する「厳しい決定」は結果的にはウクライナの支援につながると主張。「ポーランドが危機に陥り、ウクライナ支援の政策を完全に変える者の手に政権を渡すのは、我々の友人らの利益とはならない」としている。
また、カチンスキ党首は、選挙の半年前に有権者の重要な部分の支持を失うリスクを犯すことは、党にとって政治的犯罪だとも述べている。つまり、禁輸措置によって有権者の人気をとり選挙で勝てば、ウクライナを支援する政権を存続させることができ、長い目で見ればウクライナにとっても利益になるとして正当化しているわけだ。
東欧諸国のウクライナ産農作物の禁輸措置
昨年、EUはウクライナ製品に対する輸入関税の1年間の撤廃を決定。陸上、河川を利用した交易ルートを開き、大量のウクライナ産農作物が欧州に流れ込むことになった。ウクライナ産農作物は世界市場に供給されると同時に、ウクライナの輸出を増やすことにつながると期待されていた。だが、実際には輸出されたものの多くはウクライナと国境を接するEU諸国に「定着」してしまい、結果的にこうした国で農作物の過剰供給や価格崩壊を生み出してしまった。
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