女性は男性に比べてアルツハイマー病と診断される確率が約2倍高い。この理由の1つは、年齢によるもの。女性は男性より5〜6年長生きすることが多く、老齢はアルツハイマー病発症の最も強い危険因子だ。しかし、研究者らは、この発症率の違いを説明するには他の要因があると確信していた。
同大学の研究チームは、マウスを用いて研究を行った。研究者らは今回、メスとオスのネズミで認知症を引き起こす要因の違いを比較した。
ストレスはコルチゾールというホルモンの分泌に関係があり、そのホルモンがメスの脳内のベータアミロイドの増加につながるという。ベータアミロイドはペプチド(タンパク質の短い断片)で、いわゆるアミロイド斑の形で脳に蓄積される。これは神経細胞の間に沈着し、神経細胞に対して毒性を発揮する。そして、これがアルツハイマー病の発症につながる。
オスの場合、ストレスは脳に同様の影響を与えなかった。研究者らによると、ストレスレベルを下げることは、アルツハイマー病の発症リスクを減らすという点では、オスよりもメスの方が有益である可能性がある。
さらに実験を進めたところ、この違いは、脳におけるストレス反応の細胞経路に起因することが判明した。メスのマウスの神経細胞はストレスホルモンを分泌し、脳内のベータアミロイドのレベルが上昇するカスケード現象を引き起こす。一方でオスの神経細胞は、ストレスホルモンを産生する能力がないのだという。
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