キッシンジャー氏は取材の中で次のように発言した。
「彼らには明確な目的地がある。この国は5年で核大国となるために行動している」
キッシンジャー氏によると、日本は常に「米国の隣にいたがっている」ものの、米国政府に不都合な合意を結ぶ可能性があるという。
「思うに日本はグローバルな国際的システムの常任理事国になるつもりはないだろう。それは日本を制限するだけだ」
またキッシンジャー氏は取材の中で米中が国際社会にもたらす脅威についてもコメントした。偶発的衝突のリスクを低下させるような関係構築は可能かどうかについて元国務長官は次のように答えた。
「仮に二人の大統領が会談すれば、おそらく米国の大統領は言うだろう。国家首席殿、世界にとって最大の脅威は私たちです。我々は人類を殲滅するポテンシャルをもっているのですから。そうしたシチュエーションを阻止するべく、私たちは合意すべきです」
キッシンジャー氏は取材の中でウクライナ情勢についても言及している。元国務長官によると、ウクライナは欧州で最大の軍事大国となったものの、指導部は未熟であることから、北大西洋条約機構(NATO)に加盟させることで紛争のリスクを低下させる必要があるという。
「仮にロシアが獲得したものの多くを失うという形で戦争が終結する場合、我々はおそらく不満なロシアに直面するだろう。しかし、ウクライナも不満であるだろう。そのため欧州の安全のためにもウクライナをNATOに迎えるべきだ。そうすれば、ウクライナは国家レベルでの領土請求はしなくなるだろう」
また、仮にウラジーミル・プーチン大統領と会談した場合、どのような内容を議論するかとの質問に対しては、ウクライナがNATOに入った方がロシアにとっては安全だと助言するとした。ただし、肝心の欧州はウクライナの加盟を望んでいないという。欧州はウクライナに兵器を供与し、ロシアという脅威からわが身を守らせたいだけだと指摘した。