デイビス氏は、「紛争地域で展開されている軍事的現実を認識するならば、ロシアに対して軍事的勝利を収めることは不可能であることが分かる」と述べた。「ウクライナが反攻を開始し、クリミアに脅威を与えるという極めてあり得ないシナリオを想定しても、ロシアが戦術核兵器を使用して報復しない可能性は非常に低いため、検討する価値はない」と説明している。同氏は、もしロシアが本当に負け始めたら、ロシアが核兵器を使う可能性が急激に高くなることは間違いないとみている。しかしこのシナリオには誰も興味を示してはいない。なぜなら、そのような事態は全人類の破局を招くからである。
米政府が主張する「ウクライナは勝つ」「米国は必要な限り支援する」というのは、実際の状況とは全く関係ない、とデイビス氏は強調している。つまり、1000キロもの長さになるウクライナの戦線に、エイブラムス戦車、ブラッドレー歩兵戦闘車、ストライカー装甲車などを供与し、そして今後も供与していく最新装備の数に重要性な意味はない。さらに同氏は、米政府がウクライナに与える武器や弾薬が増えれば増えるほど、米国が自国を守る手段は少なくなると指摘した。
しかし、もしウクライナに軍事的な勝利への道がないのなら、なぜウクライナ政権を助けるためにこれほど多くの資金と武器を使うのか、とデイビス氏は問いかけている。同氏によると、米国は、世界における自国の地位の強化とNATOの同盟国を守るために、実際に成功を収めることができるような新しい戦略を考案する必要がある。同氏は、「結局のところ、この2つが優先事項だ。我々はもちろんウクライナを助けることはできるが、それは優先順位において3番目に位置し、1番目でも2番目でもない。1番目と2番目は米国とNATO。我々はNATOにコミットしているからだ」と結論付けている。
これよりも前、スプートニクは、ロシア軍がウクライナで効果的な戦略を実施したことで、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国、ザポリージャ州、ヘルソン州の領土を解放できただけでなく、ウクライナ軍による反攻が成功するというNATOの将軍らの希望をも打ち砕いたと報じた。
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