ラブロフ外相は記者会見で、スプートニク通信からウクライナ危機解決に向けたアフリカ諸国の提案について質問を受け、このように答えた。南アフリカのラマポーザ大統領は5月中旬、アフリカ諸国は交渉を開始するよう、ロシア連邦とウクライナを説得する試みに「余計な騒ぎを起こさず」に取り組んでいると発表した。今後数週間以内にアフリカ諸国の代表団がモスクワとキエフを訪問する予定だが、アフリカ諸国の提案は今のところ不明。
ラブロフ外相は、米国と英国が「いわゆるゼレンスキー氏のフォーミュラ」へのコミットメントを繰り返し表明し、同じくG7、北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)のあらゆる文書にもこれについて記載されていることに言及した。
「このフォーミュラは、クリミアとドンバス、またその他の新しい領土であるザポロジエ州やヘルソン州などのすべての領土からのロシアの退去およびロシア軍の撤退を意味していることに注意を喚起したい。その後は、ロシアやロシア指導部に対する法廷の開催。さらにその後は、いわゆる賠償金の支払い。そして、これらがすべて終わったあと、ようやくウクライナはなんらかの平和条約の締結に快く同意するだろう」
またラブロフ外相は、ゼレンスキー氏の発言を引用し、「(ゼレンスキー氏は)2~3年前、ウクライナ市民の中で自分はロシア人だと感じている者がいるならば、自分の子どもや孫の将来のために『ロシアへ出ていくべきだ』と述べた」と語った。ラブロフ外相はまた、ウクライナ国家安全保障・国防会議のダニロフ書記とウクライナ大統領府のポドリャク顧問の発言も考慮する必要があると指摘している。
「まさに、クリミアとウクライナ東部領土の返還後、彼ら(編注:キエフ当局)は、ロシア人の物理的な一掃に至るまで、そこでロシア的なものをすべて撲滅するだろう」
ラブロフ外相は、ウクライナ当局のこのような声明を考慮した場合、「ゼレンスキー氏の野蛮なフォーミュラ」のみを支持するという欧米の立場は、彼らがジェノサイドを支持する用意があることを意味していると指摘した。
ゼレンスキー大統領は2022年11月中旬、G20サミットでウクライナ紛争の解決を目指した10項目からなる「和平のフォーミュラ」を発表した。この中には、「オール・フォー・オール」方式での捕虜の解放(これには、ロシアに向かった民間人も考慮されている)、ウクライナの領土回復、ロシア軍の撤退と軍事行為の停止、情勢激化の防止、紛争終結の確認などの項目が含まれている。ロシアのラブロフ外相は、ゼレンスキー大統領のこうした要求は「不十分かつ非現実的」であるとしている。
関連ニュース