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【解説】太陽は遠い未来には巨大化 地球の運命はどうなる?

太陽が将来消滅すれば、地球では寒さ、飢餓、人類の滅亡などといった運命が待ち受けている。この運命から逃れる道はあるのだろうか?それとも事態はさらに悪化するのだろうか?スプートニクは国連が定めた「地球環境デー」の5日、地球の今後について、バルト連邦大学(ロシア西部)の研究者に話を伺った。
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太陽の働きとは? 内部では何が起きている?

太陽は約50億年前から輝き続けている。地球上の生命維持に必要な光と熱源は、「太陽の中心にある燃え盛る水素ストーブ」であると、同大学のアルチョム・ユーロフ教授は説明している。この「ストーブ」の温度は1500万度に達するが、それ以下の1000万度では水素原子核が互いに結合してヘリウム原子核になる熱核反応が起きている。
太陽から放出される膨大なエネルギーが地球を照らし、暖めているとユーロフ氏は説明している。そして、太陽の中心部から発生する「核融合炉」の圧力は、太陽を「圧縮」しようとする重力と釣り合っているのだという。

「世界の終わり」はいつ始まる?

同氏は、「太陽はあと50億年ぐらいは持つだろう。しかしその後、想像を絶するほどの規模で、致命的なプロセスが始まるだろう」と述べている。なぜなら、この頃までに太陽の核に位置する水素はすべて新たに形成されたヘリウムに置き換わっている可能性があるからだ。ヘリウムは水素より密度が高く、水素を温度がはるかに低い太陽の外側の領域に押し込む。その結果、太陽の中心部から届く光や熱、そして最も重要な太陽中心部の圧力が弱まり始める。しかし、太陽が衰退していく過程は決して平坦なものではないと同氏は警告している。
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膨張した太陽が金星の空を覆う

太陽中心部の圧力が低下することにより、太陽を圧縮しようとする重力が優勢になり、太陽は収縮を開始する。この収縮によって、太陽のヘリウム核を覆う水素からなる薄い殻の温度が急激に上昇する。これが1000万度に達すると、水素をヘリウムに変える熱核装置が再稼働する。その結果、太陽の外郭で起きている熱核反応の圧力が、太陽の「膨張」を引き起こす。そうなると、太陽のすぐそばに位置する水星は、膨張した太陽の中に飲み込まれる。そしてその隣の金星は、水星と同じ運命を辿る瀬戸際にいることになる。
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水星

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金星

人類にチャンスはあるのか?

ユーロフ氏は、「(膨張した)太陽が地球に到達することはないだろうが、地球上の海はすべて蒸発し、大気も気化してしまうだろう。地球は溶岩で溢れかえり、その平均気温は数千度になる。赤い太陽が空一面に広がる、灼熱地獄のような世界になる。つまり、この時期における地球の気候条件では、生命は存在できないだろう」と述べている。
赤色巨星に変化した太陽では、その中心部にたまったヘリウムの核融合反応が始まり、その後しばらくしてから再び縮小する。しかし、ヘリウムは水素よりも早く燃え尽き、1億年後には白色矮星という地球と同じ大きさの非常に密度の高い星に変わってしまう。その後、太陽は冷却し始め、消滅のプロセスが始まる。ユーロフ氏は、「太陽はしばらくの間は光を発し、月のような見た目になる。その後、地球を支配するのは終わることのない夜なのだ」と述べている。
同氏によれば、人類の文明が生き残る唯一のチャンスは、宇宙と、遠いところにある惑星を探査することだという。なぜなら、膨張した太陽はこういった惑星に到達することはないからだ。しかも数十億年の間、その惑星では極めて正常かつ温暖な気候状況を作り出すことができるのだ。
これよりも前、米国の天文学者らは、宇宙空間で地球の最後を想起させる、惑星が太陽に非常に酷似する星に飲み込まれていく過程の観測に成功した。
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