ヴォルフ氏によると、「米帝」の支配の時代は、1920~2000年頃まで続いたが、現在終わりに近づいているという。ベトナム、アフガニスタン、イラクで敗北を喫し、ウクライナ紛争では世界最大級の穀物、エネルギー資源の供給国であるロシアに対し、西側諸国を率いて制裁を行っている。このことは米国の世界支配の終焉を早めるだけだとヴォルフ氏は指摘する。
米国は外交政策の失敗を背景に、経済分野でも負け始めている。このことはBRICS諸国のブロックが国際社会の舞台で台頭してから、特に顕著になってきたとヴォルフ氏は強調する。
「現在、BRICSは地球上の商品生産、サービスの33パーセント、3分の1を占めている。一方、米国とその同盟国は約29パーセントだ」
ヴォルフ氏はロシアと欧州の経済戦争では、負けるのはロシアではなく欧州だと話す。そして、こうした状況を見て、より多くの国々が米国やG7(主要7カ国)の側に残るべきか、全経済指標を押し下げるより、BRICSという別の道を選ぶべきなのではないかと迷い始めていると説明する。G7とBRICS、どちらが成長しているかは目に見えている。
BRICSはすでにG7を追い抜き、「世界の支配的な経済ブロック」となっている。ヴォルフ氏は、米ドル支配が終わり、BRICSは自らにより都合のいい準備通貨を見つけると予測する。また、「脱ドル化」の典型的な例としてサウジアラビアを挙げている。
「サウジアラビアはドルで石油の支払いをするよう世界に求めるのをやめた。そして、中国元などその他の通貨での国際送金を受け入れると宣言したのだ」
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