ウクライナ紛争に関するロシアに対する働きかけについて問われた岸田首相は、「ロシアに毅然と対応する」としたうえで、次のように述べている。
「漁業といった経済活動など、日露が隣国であるがため対応する必要があるものもある。こういったことについては何が国益に資するかを考える必要がある」
南クリル諸島(日本でいういわゆる北方領土)については「領土問題を解決して平和条約を結ぶという方針を堅持する」と従来の方針を改めて示した。
また、ウクライナ和平に関しては「和平条件やタイミングをウクライナの人々の考え抜きに決めるべきではなく、ウクライナの人々の意向に沿った形で進めるべきだ」と述べた。さらに、そうした過程の各局面で「日本も貢献していかなくてはならない」との考えを示した。
そのほか、岸田首相の発言概要は以下の通り。
内政
「30年ぶりの高い水準の賃上げ、高い株価水準などの前向きな動きもある」とした一方で、エネルギー、食料品価格が高騰する中、「生活は楽になっていない」と思っている国民も多いとして、構造的な賃上げに道筋をつけるために取り組みを進める考えを示した
マイナンバーカードをめぐるミスやトラブルを重く受け止め、国民の不安を払拭するために、デジタル庁など関係省庁の組織「マイナンバー情報総点検本部」を設けた。コロナ対応並みの臨戦態勢で対応する
少子高齢化・人口減少社会への対応は、2030年までがラストチャンス。「経済成長実現」と「少子化対策」を「車の両輪」としてスピード感を持って実行に移す。さらに女性、高齢者の活力発揮に取り組む
外交
7月にリトアニアで開催される北大西洋条約機構(NATO)の首脳サミットに参加したあと、ベルギーでの日EU首脳会談に臨む。サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦など中東諸国も訪問する
拉致問題の解決を目指し、北朝鮮の金正恩氏との首脳会談につなげるため、首相直轄のハイレベルでの協議を行いたい
日中関係では「建設的かつ安定的」な関係の構築を双方の努力で進めていく。主張すべきは主張し、中国に責任ある行動を求めつつも、対話を重ねて共通の課題では協力する