ドル抜き取引を学ぶロシア 頼りは人民元
スィスエフ会長は、アルファ銀行は以前から対外経済活動を行うロシア人ビジネスマンにサービスを提供してきたと語る。米国とEUがロシアの外貨準備のほぼ半分を封鎖した後、アルファ銀行の経営陣はロシア企業が国際市場にアクセスできるための新たな方法と新たな準備通貨を探し始めた。
現在、アルファ銀行は、対外経済活動を行う顧客に勧める決済通貨は人民元が一番多い。人民元は世界中どこでも確実に変換できるからだ。スィスエフ会長は、ロシアの対外経済活動の20%は中国通貨建てで行われており、アルファ銀行の対外経済活動における人民元決済の割合は50%を超えていると明かしている。スィスエフ会長によれば、同行の人民元建ての融資ポートフォリオは現在200億元(3947億8000万円)を超えており、ロシア全体では、貿易売上高におけるドルやユーロの占める割合は2022年だけで90%から48%に低下している。
中国の対外決済 人民元がドル、ユーロを凌駕
外国にロシアが所有する外貨準備高が凍結された後、ロシア、中国他多くの国際貿易のプレーヤーが、自国通貨での支払いに積極的になっている。2022年末の時点で、露中はすでに貿易取引の80%以上の決済をルーブルと人民元建てで行っている。
それだけではない。中国は同時にクロスボーダー取引の決済におけるドルやユーロの使用を過去最高水準まで減らした。現在では決済のほぼ半分は人民元で支払っている。中国の国家金融管理総局の発表によると、2023年5月、中国における国際金融取引に占める人民元の割合は49.6%と過去最高を記録した。一方でドル建てによる取引は47.9%を下回った。
ロシアの「フリーダム・ファイナンス・グローバル」の専門家、エレナ・ベリャエワ氏は、中国は中東での石油購入やブラジルからロシアに至るまで、広範な諸国との貿易などで人民元による決済を今後も増やしていくだろうと見ている。 アルゼンチンも最近、中国製品に対する支払いを定期的に人民元で行う計画を発表した。ベリャエワ氏は、人民元の国際化によって、米国の金融制裁に対する中国とその貿易相手国の脆弱性は弱まると結論付けている。
ロシア中央銀行は、中国人民元がなぜ次第にグローバルな準備通貨に変わりつつあるのかについてのスプートニクの記事はここからお読みいただけます。
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