岩に描かれた絵は指紋によって作られたと解釈されている。科学者たちは、写真測量法を用いて3次元モデルを作成し、実験的に得られた指紋と比較した。痕跡の形と位置から、人間が意図的に作ったものであることがわかった。
指紋の年代は、調査対象サンプルが最後に太陽光にさらされた時期を特定する「光ルミネッセンス年代測定法」を用い、洞窟の堆積物を年代測定することによって特定された。洞窟は、ホモ・サピエンスがこの地域に到達するはるか昔、約5万7000年前の堆積物によって塞がれていたことが判明した。洞窟内で発見された石器とともに、この岩の彫刻はネアンデルタール人によって作られたものであることが証明された。
この洞窟に残されたマークともいうべき絵は何かモノの形をしているわけではないため、その意味するところは不明である。しかし、指紋の年代は、世界の他の地域でホモ・サピエンスによって描かれた洞窟壁画と一致している。これは、ネアンデルタール人の振る舞いや活動が、我々の祖先と同様に複雑で多様なものであったことを示す証拠になる。
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