西側諸国によるウクライナへの兵器供与

米軍需企業、退職した年金生活者を動員 ウクライナ向けミサイル製造で

米軍需大手「レイセオン」が、ウクライナ向けの携帯対空防衛ミサイルシステム「スティンガー」の製造のため、退職した年金生活者を招集して再雇用している。米軍事メディア「ディフェンス・ワン」が伝えている。
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レイセオンのミサイル開発、製造部門のウェス・クレマー社長は次のように述べている。

「スティンガーはかれこれ20年間製造されていなかったが、(編注:ウクライナ紛争開始後の)最初の48時間で突然注目のスターとなった。そのため、すでに退職した70歳を越えた年金生活者を呼び戻し、スティンガーの作り方を若い従業員に教えているのです」

ウェス・クレマー
レイセオン・ミサイルズ&ディフェンス社長
同誌によると、ウクライナ軍が積極的に使用しているスティンガーの設計図は、ジミー・カーター大統領時代(1977~1981年)に作られたものだという。
現在、武器の製造過程に3Dプリンタを導入する動きが加速しているが、スティンガーには適用できない。そのためには設計図を再構築する必要があり、新たな製造承認の結果が出るまで待たなければならないからだ。つまり、スティンガーは40年前と同じ方法で、手動で作る必要があるのだ。
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ウクライナ特需

米国の軍事産業は今、バイデン政権の際限のないウクライナへの軍事支援のおかげで特需を迎えている。レイセオンは5月、ロッキード・マーティン社とともに対戦車ミサイル「ジャベリン」の製造を国防総省から3年間(2023年から2026年)の契約で受注。ロッキードは6月、誘導型多連装ロケット(GMLRS)弾の製造に関する47億9100万ドル( 6499億円)の契約も締結している。
一方で、急激な需要の高まりに対応しきれないという問題も指摘されている。レイセオングループのグレグ・ヘイエスCEOは昨年末、スティンガーやジャベリンの数年分の備蓄を、ウクライナに供与したためにわずか数カ月で消費してしまったと述べている。
また、軍需各社は専門技術を持つ労働者の不足にも直面。新型コロナウイルスのパンデミックを受けて人員整理を進めていた直後、急激に需要が爆発したためだ。このため、従業員の数が足りず、納期を通常の2~3倍に延ばすなど、生産ラインの能力を十分に発揮できない状態となっている。
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