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ペルー人の祖先、1000年前に壁で洪水を防御していた=調査

フロリダ大学の考古学者ガブリエル・プリエト氏が、ペルー北部にある土壁「Muralla La Cumbre」の目的を明らかにするための調査結果について語った。全長およそ10キロに及ぶこの土壁は、少なくとも1000年前に出現した。当初は、戦争から守るためのものだと考えられていたが、実際には洪水を防御するためのものだった。
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以前、この壁の目的はインカ帝国の襲撃からチムー族を守ることだと考えられていたが、最近の発掘調査によって土壁はペルー北部の気候サイクルから守ることが目的だったという説が確認された。気候サイクルは、太平洋赤道域の海面水温が上下するエルニーニョ現象と関係している。
エルニーニョは地球のさまざまな地域に干ばつを引き起こすが、ペルー北部では大雨をもたらす。この壁は、最も湿度が高い時期に大雨による洪水を防御することを目的としていた。
この土壁は、少なくとも1000年前に出現した
なお、エルニーニョという名前には由来がある。エルニーニョはスペイン語で「子ども、男の子」を意味するが、「幼子イエス・キリスト」のことを指しており、エルニーニョはクリスマスの頃にこの地域に大雨をもたらすことから、このように呼ばれるようになった。なお、エルニーニョは数年に1回発生する。
プリエト氏は、この壁が破壊的な雨からチムー族を守ったと指摘している。この壁がなければ、雨はチムー族にとって重大な危険になっていたとされる。またこの壁は、シルトを貯留するダムのような役割も果たしていた。チムー族はその後、このシルトを農地の肥料として使った可能性もあるという。
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