テスト地に使われたのは中国南西部にあるアバ・チベット族チャン族自治州にあるダグ氷河。科学者らは融解しつつあるダグ氷河の表面に400平方メートルを超えるフィルムを広げた。
フィルムの素材には太陽光を93%反射することで、氷雪の塊の融解を防ぐ働きがある。
スイスのチューリッヒ工科大学の雪氷学マティアス・フス教授は、「気候変動の影響にローカルレベルで対処するためには、これはとてもよいソリューションだ」と評価している。
ブルームバークによれば、氷河をロール状の反射材で覆う方法は今までも試されてきた。欧州のスキーリゾートでは、20年近く前から氷河の融解を防ぐために白い素材が用いられてきたが、今回、中国の科学者たちはその方法を技術的により高度にした。
フィルムの素材には植物由来のアセチルセルロースが使われた。植物由来が選ばれたのは環境への影響を最小化することが目的。素材はまたエアゾールの形でも使用できるため、到達が難しい場所でもドローンから噴射することができる。
これまでの実験で特製素材で氷雪の融解が50%から70%縮小できることが示されていたが、実験はさらにつづけられている。科学者たちは、この新技術の有効性を評価するため、9月に戻ってフィルムを剥がし、追加の測定を行う。
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