独自通貨は後で
加盟諸国共通の独自通貨の創設は、2001年に結成されたBRICS統合の歴史にとって画期的な出来事になるかもしれない。構想では共通通貨は金や銀といった希少鉱物によって、その価値が裏付けられる。ディール氏によると、すでに41カ国が関心を示している。8月15日に南アフリカで開かれるサミットの公式声明でも、共通通貨について言及される見込みだ。
第一歩は成功
一方で、脱ドル化と米国によってコントロールされている国際決済システム「SWIFT」からの脱却を進める必要性については、発展途上国間で議論の余地はない。
こうした方向を目指し、BRICSはすでに最初の一歩を踏み出している。ドル以外の通貨での貿易額は年々増えている。反対に、世界の準備通貨に占めるドルの割合は2022年末以降、55パーセントから47パーセントに急落した。
ロシア財務省のデータによると、露中間の貿易決済の70%が人民元かルーブルで行われている。また、インドの石油精製企業も、ロシア産原油の代金を人民元で支払っている。さらに米国の長年の同盟国であるサウジアラビアも、中国との石油取引における人民元決済の導入に向け、協議を進めている。
ディール氏は、各国通貨での決済拡大によってドルがその地位を著しく損なう可能性があると続ける。そのため、BRICSが共通通貨を導入するか否かは、重要ではないと指摘している。
これまでにスプートニクは「各国の個人・機関投資家が米国の対露制裁を背景に、BRICS諸国を資産の逃避先として選ぶ可能性が高まっている」と指摘する専門家の視点を取り上げた。
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