この研究で専門家たちが依拠したのは、マドリードで行われた70~85歳の高齢者を対象にした長期研究のデータ。科学者たちは研究対象に神経の病気や精神医学的病いを持たず、記憶力に優れた80歳以上の長寿者64人を選んだ。
これらの64人には特に、自伝的な出来事に関するエピソード記憶は20~30歳若い健常人と同程度に保存されていた。次に、選ばれた長寿者たちを、一般の高齢者で、この年齢に特有の記憶の変化が見られる、平均年齢82.4歳の55人からなる対照群と比較した。
研究者らは神経心理学的検査、臨床検査、MRI検査、認知症バイオマーカーの測定と遺伝子解析のための血液サンプルの採取を行い、実験参加者の人口統計学的データと生活様式データを収集した。その結果、身体活動、教育、社会経済的地位といった要因が長寿と関連していることが確認されたが、こうしたことは加齢に伴う認知症の発症予防について語る際によく言及される。
ところが、意外な発見もあった。完璧な記憶力が保たれている長寿者には、対照群の人々よりも音楽教育を受けた人や、離婚や別居を経験した人が多かった。研究の著者たちはこの発見が健康長寿の研究に大きく貢献するものと考え、この方向で実験を拡大していくと発表している。
先にスプートニクは、2060年までには人間の最高寿命は150歳に達するとする研究者らの予測を紹介している。
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