【視点】米国がいかにG7の通貨を貶めたか 専門家「もう誰も蓄え保有したがらない」

米国によるロシア資産の凍結により、世界各国はドルを基軸とした金融システムへの警戒心を強めている。米ドル支配に組み込まれた日本は関係ないと思ったら大間違いだ。日本円を含む主要7カ国(G7)など先進国の通貨も、米国主導の制裁乱発のせいで信用を失いつつある。
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各国政府が発行する通貨は信用を基礎にして価値が担保されている。その信用がなくなれば札束も紙くず同然だ。ロシア科学アカデミー・経済予測研究所のアレクサンドル・シロフ所長は、米国はロシア資産を凍結したことで、「世界で先進国通貨の信用を貶めた」と語る。

「ドルを買うよう勧める米国の説得はもう機能しない。誰もこれまでと同じようには、ドルを蓄え保有しようとは思わない。なぜかって?ある日、アメリカ人が凍結すると決めたらそれで終わりだからだ」

アレクサンドル・シロフ
ロシア科学アカデミー・経済予測研究所所長
西側諸国によるロシアへの制裁では、海外に保有している政府資産の凍結、国際決済システム「SWIFT」からの露銀行の排除などの措置がとられた。凍結されたロシア政府の外貨準備や金は3000億ドル(約42兆円)にのぼる。これにより、保有する資産が引き出せない、支払いに使えないなどといった問題が起き、ロシアの在外資産は帳簿上の数字に過ぎなくなった。
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このことは西側陣営に属さない世界各国を震撼させ、ドル資産の引き揚げや自国通貨での貿易決済の整備を促進した。しかも、この問題はドルだけでなく、円やユーロ、ポンドといった米国の作った国際金融システムに組み込まれた別の国の通貨でも起こっている。そのため、シロフ氏はロシアだけでなく多くの国々が、G7の通貨を「リスクの高い資産」とみなしていると指摘する。
これまでにスプートニクは、各国の中央銀行や政府系ファンドが、金準備の物理的な保管場所を自国に移す動きを加速させていることを取り上げた。米資産運用会社「インベスコ」がこのごろ発表した調査結果によると、世界各国の140以上の中央銀行、政府系ファンドのうち、金を自国に保管していると回答したのは68パーセントにのぼった。50パーセントだった3年前の調査時と比べて18ポイントも上昇している。
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