ネアンデルタールは石を割る高度な技術を持っていたことで知られるが、芸術品が生みだされていたのはより後の、後期旧石器時代。シンボリックな思考の発露や骨や石に文様を刻むという、非功利主義的な行動は中期旧石器時代には稀で、新たな発見は意義が大きく、そうしたひとつが2023年7月、ホトゥイリョヴォ1遺跡で見つかった。
考古学者らは骨の特徴と傷の構造を入念に検査した結果、発掘物が古い骨にわざわざ文様を施そうとして作られたものであるという確信に至った。幾何学模様はジグザクや半円から成っており、彫り方も深い透かし彫りから浅く傷をいれただけといろいろ。文様は何らかの形を表してはいないものの、中期旧石器時代の人間が単に生存にあくせくしていたのではなく、抽象的なものを思考していたことがこれで明確に示された。
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