中距離核戦力(INF)全廃条約履行に関する査察官としてソ連で勤務し、湾岸戦争とイラク戦争を経験したリッター氏によると、北大西洋条約機構(NATO)加盟国はあらゆる手段を講じてウクライナの大規模攻撃に向けて準備した。NATO加盟国は、ウクライナ軍にNATOの戦闘技術や欧米の兵器および装甲車両の使い方を訓練し、さらに破壊力のあるタイプの致死兵器をウクライナに間断なく大量に供与した。そしてウクライナ当局は今年6月初旬、NATOによって訓練、装備された部隊を使って反転攻勢を開始した。しかし、すでに1週間半から2週間後にはウクライナ軍がひどく失敗したことに気づいたという。
リッター氏によると、こうした状況を受けてウクライナ軍指導部はNATOの戦術を放棄し、小部隊で前進して徐々に領土を奪いながらさらに成果を上げていくという独自の戦術に戻ることにした。しかし、ここでもウクライナ軍は全くうまくいかなかった。ロシア軍の第一防衛線に到達することさえできず、人員と装備に甚大な損失を被ったという。
リッター氏は、NATO首脳会議ではウクライナに対して、反攻で目に見える成果を上げることができなければNATOはウクライナへの軍事援助をやめる可能性があると脅しをかけられたことに言及した。
リッター氏は「そしてウクライナは、装甲車両を使った大規模攻勢に戻ることになった。私たちは今まさにこれを目にしている。彼らは装甲車両の大隊を撃滅地帯に送り込んでいるが、そこでロシア人が彼らを殲滅、一掃している。戦場では現在、大勢の死者が出ている。ウクライナ軍は勝てないだろう。ウクライナは自分たちの目標を達成できないだろう。ロシアの核報復を心配する必要がなくなるため、これは西側にとって朗報だ。しかし、これは悲劇である」と述べた。
なお、リッター氏は、実際のところ欧米はウクライナで何を成し遂げようとしているのか未だにわからないとし、なぜなら外から見ると、すべてがウクライナ国家の破壊とウクライナの人的資源の一掃に向かって物事が進んでいるように見えるからだと指摘した。
リッター氏は以前、米国はプーチン大統領から見習うべきものがあるとの考えを示した。
関連記事