西側諸国によるウクライナへの兵器供与

【解説】ウクライナの防空システムはゼレンスキー氏が言うほど効果的なのか?

ウクライナのゼレンスキー大統領は自身のツイッターで、軍事支援の一環としてウクライナに供与された欧米の防空システム「パトリオット」と「IRIS-T」の戦術的・技術的特性を高く評価した。同氏によると、これらの「高い効果」を持つシステムはすでにロシアのさまざまな種類のミサイル65発とロシアの攻撃用無人機178機を撃墜した。しかし、実際はどうなのだろうか?
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軍事史学者で政治評論家のユーリー・クヌートフ氏はスプートニクのインタビューで、ウクライナにおける欧米の防空システムの実際の効果を理解するためには、ロシア軍がウクライナの軍事インフラに対してミサイルの「コンビネーション攻撃」を行っていることを考慮する必要があると語った。

コンビネーション攻撃とは何か?

クヌートフ氏によると、コンビネーション攻撃はまず、古くて「安価」なミサイルや無人機を使用した攻撃から始まる。それらを撃退するために、敵に欧米の「パトリオット」または「IRIS-T」の高価な迎撃ミサイルを発射させて、できるだけたくさんのミサイルを消費させる。そしてその後、攻撃の2段階目が始まる。「カリブル」や「イスカンデル」、「Kh-555」、「Kh-101」、「ランセット」などのロシアの最新のミサイルや無人機が、今度は狙いをつけたウクライナの目標に精密な攻撃を行う。なお、クヌートフ氏によると、米国製「パトリオット」もドイツ製「IRIS-T」もこの2段階目の攻撃を撃退することはできない。
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問題は、防空システムの「効果」を何と考えるかにある

ロシアのコンビネーション攻撃の過程で欧米の防空システムによって撃墜された目標の総数は、これらのシステムの高い効果を語るのに十分な数に見えるかもしれない。しかし、撃墜された装備の中で、敵を欺くための古いミサイルや無人機が最も大きな部分を占めていることを考慮し、実際に狙いを定めた目標に命中したユニットの数を数えた場合、北大西洋条約機構(NATO)の防空効果は極めて低いことが明らかになる」とクヌートフ氏は説明した。

ロシアは宣伝されている防空システムにどのように対処できるのか?

クヌートフ氏は、今月上旬にロシア国防省が同国の神風ドローン「ランセット3」によって「IRIS-T」が破壊される動画を公開し、これについて米国側もすぐに報告したことや、5月にはロシアの戦闘機MiG-31が発射した極超音速ミサイル「キンジャール」によるウクライナの「パトリオット」発射機5基の破壊が記録されたことに言及した。同氏によると、ロシアは「パトリオット」や「IRIS-T」にうまく対処することができ、極超音速ミサイル「イスカンデルM」や「カリブル」、「キンジャール」を使ってそれらを確信をもって動作不能にすることができる。同氏はその理由として、今日、欧米の防空システムの迎撃ミサイルは、ロシアのミサイルの飛行速度の半分も加速できないからだと強調している。
スプートニクは先に、ロシア軍の命中精度の高い攻撃でウクライナの対空防衛は危機的状態にあると報じた。
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