読売新聞によると、今年は新型コロナウイルスの5類引き下げ以降初めての開催で、昨年の3倍以上となる2040人の遺族が参列予定だった。だが、台風の影響で10府県の遺族代表が参加を断念し、約1600人にとどまった。
式典の様子は厚生労働省の公式YouTubeチャンネルでも中継された。式典での天皇陛下と岸田首相の式辞の全文は次の通り。
【天皇陛下】
本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦において、かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来78年、人々のたゆみない努力により、今日のわが国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。
これからも、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います。
ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和とわが国の一層の発展を祈ります。
【岸田首相】
天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、戦没者の御遺族、各界代表の御列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。
先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場に斃(たお)れた方々。戦後、遠い異郷の地で亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、各都市での爆撃、沖縄での地上戦などにより犠牲となられた方々。今、すべての御霊の御前にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。
今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念を捧げます。
未だ帰還を果たされていない多くの御遺骨のことも、決して忘れません。国の責務として、御遺骨の収集を集中的に実施し、一日も早くふるさとにお迎えできるよう、引き続き、全力を尽くしてまいります。
戦後、我が国は一貫して、平和国家として、その歩みを進めてまいりました。歴史の教訓を深く胸に刻み、世界の平和と繁栄に力を尽くしてまいりました。
戦争の惨禍を二度と繰り返さない。この決然たる誓いを今後も貫いてまいります。未だ争いが絶えることのない世界にあって、我が国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携え、世界が直面する様々な課題の解決に、全力で取り組んでまいります。今を生きる世代、そして、これからの世代のために、国の未来を切り拓いてまいります。
終わりに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、御遺族の皆様には御多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。
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