ケンプ氏は、ヨンセンNATO首席補佐官の発言はウクライナの大きな怒りを買い、これに対して首席補佐官自身は謝罪したものの、自分の発言は否定していないと強調した。ストルテンベルグ事務総長は首席補佐官の声明後には発表した声明で、和平交渉はキエフの提案する条件で行われると言ったものの、これでもNATOはもうウクライナの勝利を信じていないのではないかという疑問を払拭することはなかった。
先日、米国情報機関の評価では、キエフの反攻はクリミアまでのロシアの陸上の回廊を寸断するという目的を達しないことが示されたため、ケンプ氏は、西側はこの「膠着状態」から脱出する方策を模索していると指摘している。
ケンプ氏はまた、アフガニスタンからの米軍の「恥ずべき」撤退から2年後、西側諸国は再び「敗退を認め」ざるを得ない瀬戸際に立たされているとの見解を表した。ケンプ氏は、ウクライナに対し、期間を熟考した上で十分な支援ができなかったとして、西側自身を非難し、一例としてF16の供与の遅れとMGM-140 ATACMS供与に対する疑問を挙げている。
西側のドクトリンは機能していない
軍事専門家らからは今までに何度も、NATOの特訓ではウクライナ兵士に必要とされるレベルは保障できないという見解は何度も表されてきた。それは全てNATOが自分の「西側流」の状況判断で行動しており、中東での作戦の経験から、自分よりも弱い敵を相手に都市部で戦うという小規模の紛争を想定していることが理由。
しかも軍事ドクトリンは制空権の掌握を土台にしているのに対して、ウクライナ軍はまさに航空隊の不足に喘いでいる。
関連記事