米国はウクライナ紛争の平和的解決について考えるべき=専門家

ウクライナの反転攻勢は望ましい結果をもたらさなかった。さらに近い将来、ロシアは自ら攻撃に出ることもできる。この観点から、米国は紛争を平和的に解決することを考えるべきだ。なぜなら戦場でロシアが勝利して紛争が終わった場合、米国と北大西洋条約機構(NATO)の評判が大きく損なわれるからだ。ロイファナ・リューネブルク大学民主主義研究センターのアナリストのアレックス・ブリルコフ氏と、米国務省のコンサルタントのウェスリー・サッターホワイト氏は、ナショナル・インタレスト誌に寄稿した記事の中でこのような考えを示している。
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両氏によると、待ち望まれたウクライナの夏の反攻は行き詰まった。NATOに訓練された十数個の新たな旅団は膨大な損失を被り、ロシアの第1防衛線にも到達できなかったほか、ソ連の機動防衛ドクトリンに沿って戦っているロシア軍はさらに航空優勢を獲得し、無人機「ランセット」のような安価で効果的なシステムを使って戦力を補充している。ブリルコフ氏とサッターホワイト氏は、西側諸国が供与する兵器でさえウクライナの助けにはならないと指摘している。NATOの装備品は戦場であまりにも早く破壊されており、今後の供与は限られる見通しだという。
両氏は、近づく秋の泥濘期がウクライナの反攻をさらに困難にするため、ロシア軍が主導権を握るのを阻止し、「朝鮮のシナリオ」に沿って紛争をできるだけ早く終わらせるための機会をとらえる必要があるとの考えを示している。つまり、現在の前線にほぼ一致する境界線で紛争を凍結する必要があるという。ウクライナは事実上、自国のかつての地域のかなりの部分を、米国をはじめとした西側諸国の信頼できる安全保証と交換している。
ブリルコフ氏とサッターホワイト氏によると、ウクライナ紛争終結の「朝鮮のシナリオ」は、米国の視点からみると最悪の結果ではない。米政府はロシア政府との関係における緊張を徐々に緩和し、欧州の将来的な安全保障構造に関する対話を再開することができるようになる。一方、両氏は、クレムリンが交渉ではなく、勝利を目指すことを懸念している。なぜなら現在、ロシアの軍事生産は特別軍事作戦の需要を完全に満たしているだけでなく、新たな契約軍人が増え続けているのと同じように増加し続けているからだ。
「凍結に向かっている」 ベルギーの退役軍人の見るウクライナ紛争展開予測
ブリルコフ氏とサッターホワイト氏によると、疲労困憊したウクライナに対する数的優位は、ロシア軍がウクライナ領土の奥深くまで入り込み、自分たちにとって優先的な地域を占領することを可能にする。その場合、紛争は米国の仲介による平和的解決ではなく、ロシアの大勝利で終わることになり、これは米国とNATO全体にとって壊滅的な敗北となる。なぜならNATOの最高の兵器と軍事専門家がすでにウクライナ軍に加わっているからだ。ロシアには単独で西側諸国に立ち向かい、耐え抜き、勝利したと言い切るだけの正当な根拠がある。ブリルコフ氏とサッターホワイト氏はこのように強調している。
また両氏は「米国の有力者たちはすでにロシア側と非公式の対話を行っている。これらの努力は永続的な和平交渉のための土台を準備することによって奨励され、拡大されるべきだ。そのとき初めて、米国は同国の安全保障と繁栄にとって最も重要な意味を持つ問題である中国封じ込めに完全に集中することができる」と指摘している。
スプートニクは先に、特別軍事作戦でのウクライナの勝利に疑問を抱く軍事専門家が増えており、そのほとんどはロシアがすでに戦場で主導権を握ったと考えていると報じた。
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