チベット帝国の面積は約460万平方キロメートル、人口は約1000万人だった。彼らは海抜 4000メートル以上の高地に住んでいたため、酸素濃度が海抜0メートルより40%低い環境に体が適応していた。チベット帝国は9世紀に崩壊したが、その原因は完全には明らかにされていなかった。
Zhitong Chen教授率いる研究チームは、珪藻遺骸が含まれていた湖の堆積物を分析し、その濃度を調べた。結果、600~800年代には水面近くを漂う藻類が優勢であり、800年以降は湖底付近で成長する藻類が優勢になったことがわかった。これは、気候がより日照りが続く状態に移行し、それが湖の水位の低下につながったと解釈された。
これは 600 年から 800 年ごろのチベット帝国の全盛期にこの地域が暖かくて湿気が高い環境にあったが、その後、より日照りが続く気候に変化したことを示唆しており、 800 ~ 877 年ごろの帝国の崩壊と一致している。干ばつは農作物の成長を妨げたり、不作を引き起こし、それが社会における住民の不安や宗教的、政治的問題を誘発した可能性があるという。
データは、気候変動が調査対象の湖だけでなく、地域全体のものであったことを物語っている。研究結果は、現在の気候変動が、収入の半分を農業に依存している現代チベットの居住地にも深刻な影響を与える可能性があることを示しているという。
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