スペインの旧石器時代の岩絵は世界でもトップクラスの数だが、そのほとんどは同国北部に集中しており、東部では少ししか発見されていない。
研究チームによると、コバ・ドネスの岩絵群はモチーフの多さと多様な技術において抜きんでている。その中にはダマジカ、馬、オーロックス、シカ、その他の動物の絵19点が含まれている。また、大半の絵は粘土で描かれていた。粘土で描いた絵は旧石器時代の芸術で知られていたが、その使用例は今日までほとんど残っていないため珍しい。さらに洞窟内は湿度が高いため絵がかなりゆっくり乾燥した。そのため粘土粒子は剥がれ落ちる前に方解石の層で覆われた。このようにして絵は今日まで「保存」された。
コバ・ドネスの岩絵群
CC BY 4.0 / Aitor Ruiz-Redondo et al./Cambridge University Press/Antiquity Publications / Figure 2 (cropped photo)
研究チームによると、彼らの調査は初期段階にあり、調査が必要な領域や文書化すべき作業がまだたくさんあるという。したがって、今後数年間で古代アート作品が新たに発見される可能性がある。
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