がんの増殖をめぐり重要な役割を果たしているのがセラミド。セラミドは、一連の重要な細胞の機能を調節している。セラミドの生成が停止すると、がん細胞はより効率的に増殖する。そしてこのセラミドの生成に関係しているのが、セラミド合成酵素だ。
研究チームは、セラミド合成酵素の1つであるCerS1がタンパク質Hsp27の分子と相互作用することを発見した。Hsp27は熱ショックタンパク質で、別の分子が特定の構造に正しく折り畳まれるのを助ける。研究では、大腸がんの多くの細胞でHsp27の活性が高い場合、CerS1の活性はかなり低いことが示された。したがって、Hsp27が過剰だとセラミド合成酵素の働きが妨げられる可能性があることがわかった。
研究チームは、Hsp27タンパク質を「ブロック」することが大腸がんの新しい治療法の開発に役立つ可能性があると考えている。また肺がん、膵臓がん、前立腺がんなどでもHsp27の産生増加が観察されているため、今回の発見はこれらの疾患の治療法改善にもつながる可能性があるという。
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