「ロシア側は紛争当事国に対し、流血を止め、軍事行為を直ちに停止し、政治的・外交的手段によって解決する道に戻るよう求める」
ザハロワ報道官は、ここ数か月はロシアと他の国際的仲介者の尽力で、カラバフ問題の平和的解を推し進めるための本格的な前提条件が整い始めていたと強調した。前提条件が言及しているのはカラバフの住民への人道的援助の開始についてであり、ザハロワ報道官は、これは紛争当事者間の直接対話の再開に適した背景を生み、これからも作り出していくものだと語っている。
ザハロワ報道官はロシアの平和維持軍は同地域における独自の課題を引き続き遂行し続けると強調している。
ザハロワ報道官は、カラバフにおける和平調停のための全行程は2020年から2022年の時期にロシア、アゼルバイジャン、アルメニアの三首脳らが調印した三者声明の中に記載されていると指摘している。
ナゴルノ・カラバフ紛争はナゴルノ・カラバフ自治州がアゼルバイジャン・ソビエト社会主義共和国からの離脱を宣言した1988年2月に始まった。1992年から1994年の武力衝突でアゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ及び隣接する7つの地域の支配権を失った。
アゼルバイジャンは領土保全を主張しているが、未承認国家ナゴルノ・カラバフは交渉当事者ではないためアルメニアがナゴルノ・カラバフの利益を擁護している。19世紀から現在までナゴルノカラバフ住民の8割以上はアルメニア人。残り2割はアゼルバイジャン人、ロシア人、その他民族。
2020年9月末、ナゴルノ・カラバフでアゼルバイジャンとの戦争が勃発。11月10日にかけての深夜、アゼルバイジャン、アルメニアはロシアの調停によって完全な停戦合意に達し、現行の占領地域をそれぞれの支配地域として、捕虜および遺体の交換を行った。ラチン回廊を含む地域にはロシアの平和維持軍が駐留することになった。
2022年、アルメニアとアゼルバイジャンはロシア、米国、EUの仲介で将来の和平合意にむけた話し合いを開始。
2023年5月末、アルメニアのパシニャン首相は、ソ連時代の境界線内の領域におけるアゼルバイジャンの主権をアルメニアは認める用意があると表明し、つまりカラバフを含む地域に対するアゼルバイジャンの主権を認めることを示唆した。
9月、ロシアのプーチン大統領は、アルメニア当局は事実上、カラバフに対するアゼルバイジャンの主権を認めたことに注意を喚起した。アゼルバイジャンのアリエフ大統領も、アルメニアが態度を変えない限り、アゼルバイジャンとアルメニアは年末までに和平合意を締結できるとする声明を表していた。