イスラエル・パレスチナの紛争激化

イスラエル・パレスチナ紛争激化 現時点でわかっていること【更新】

7日午前、パレスチナ自治区ガザ地区はイスラエルに対し、大規模なロケット弾攻撃を開始した。これを受けてイスラエル国防軍はガザ地区における「対テロ」作戦「鉄の剣」の開始を発表し、同国のガラント国防相は大規模な予備役兵招集を発表した。
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イスラエルの状況

イスラエル南部及び中部地域へのロケット弾攻撃は現地時間午前6時半(日本時間午後12時半)ごろに始まり、現在も続いている。報道によると、パレスチナとイスラエルの紛争がエスカレートした結果、1452人が負傷、250人以上が死亡した。イスラエルではエルサレム、テルアビブ、その他の主要都市でサイレンが鳴り響いている。タイムズ・オブ・イスラエルによると、イスラエル国防軍は報復としてガザ地区への空爆を開始したと発表した。
またイスラエル国防軍は、ガザ地区の武装組織がイスラエル領内に侵入したと発表した。目撃者らの証言によると、複数の居住地区で市街戦が起こっている。
イスラエル国防軍は同日昼、ガザ地区における「対テロ」作戦「鉄の剣」の開始を発表した。
イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエルは作戦を実施しているのではなく、「戦争」状態にあるとし、敵は「代償を払うことになる」と述べた。
ガラント国防相は、ガザ地区を実効支配するハマスはイスラエルを不意に攻撃し、重大な過ちを犯したと発表した。現在、イスラエル国防軍の兵士たちが、侵入されたすべての地区で敵と戦っているという。
報道によると、イスラエルの国家安全保障相は国内に非常事態を宣言した。また、イスラエル国防軍は、ハマスの戦闘員がイスラエル人を捕虜としてガザ地区に連行したことを確認した。イスラエル軍人の死亡も確認された。
同日の夜、イスラエル国防軍は、ガザ地区との境界にある南部の集落のほとんどの支配権を取り戻したと発表した。

パレスチナの状況

イスラエルに対する攻撃について、ハマスが犯行声明を出した。ハマスの軍事部門トップのムハンマド・・デイフ氏は、パレスチナ国家樹立を目的とする「アルアクサの洪水作戦」を開始したと発表した。同氏によると、ハマスはイスラエルを攻撃するために5000発のロケット弾と砲弾を使用した。
ハマスは、イスラエルで作戦を実行中に約35人のイスラエル兵と入植者を捕虜として拘束したという声明を発表した。
パレスチナ保健省は、ガザ地区に対するイスラエル軍による7日の空爆で232人が死亡、1600人以上が負傷したと発表した。

専門家たちの見解

パレスチナ社会開発相でパレスチナ解放機構執行委員会のメンバーでもあるアフメド・マジダラニ氏はスプートニクのインタビューに応じ、本日のパレスチナ・イスラエル紛争のエスカレーションについてコメントした。
「ガザ地区で起こったことは、イスラエルの占領政策とネタニヤフ政権による政治的見通し遮断の自然な結果であり、ネタニヤフ政権は2つの国家をつくるという国際的に認められた解決策も議題から除外し、国際的な決議の履行を妨害し、一方的なやり方を押しつけようとしている」
同氏はまた国際社会に対して、「直ちに介入し、侵略をやめさせ、ガザのパレスチナ人を保護」するよう呼びかけた。
テルアビブ大学国家安全保障研究所の上級研究員で、戦略問題省の元副局長およびパレスチナ局長のコビー・マイケル氏はスプートニクのインタビューで、イスラエル当局は状況を抑え、平静を維持することができず、それが原因で本日、多数の犠牲者が出てしまったが、我われには状況を正すための十分な力があると語った。

「現在の状況が発生した理由は2つあると考えている。1つ目は、ハマスが嫌がっているイスラエルとサウジアラビアの関係正常化のプロセスだ。彼らは状況を不安定化させ、このプロセスでサウジが前進するのを妨げるために全力を注いでいる。

もう1つの理由は、イスラエル国内の政治情勢に関する一種の誤解だ。私は、ハマスがイスラエルは自国の問題で忙しいため反撃できないと考えているのではないかと思っている。また彼らは、他の者たちを味方につけることができると信じているが、私は、それはおそらくうまくいかないと考えている」

マイケル氏は、このような攻撃は自然発生的な現象ではなく、イスラエルがそれを予見できなかったのは同国の情報機関の失敗だと指摘している。一方、同氏は、最終的にイスラエルは自国に有利なように状況を変えることができるとの考えを示している。
イスラエル・パレスチナの紛争激化
【図説】イスラエル・パレスチナ紛争激化

第四次中東戦争から50年

第四次中東戦争から50年の節目に、イスラエルの状況は悪化した。1973年10月6日、エジプトとシリアがイスラエルを攻撃した。1967年の第三次中東戦でイスラエルに占領されたアラブ領土の奪還が目的だった。攻撃は、ユダヤ人にとって最も重要な宗教上の祝日である「ヨム・キプール」(贖罪の日または審判の日)に行われた。対立は10月25日まで続いた。同月22日、国連安全保障理事会はソ連及び米国のイニシアチブで、当事国に停戦を求める決議案を採択。2日後にシリア戦線での戦闘行為は停止したが、イスラエルは攻撃を続けた。そして25日、その他の国々の圧力を受けてようやく戦争は終結した。
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