ガザ封鎖
領土面積が40×8キロのガザには200万人以上が住んでおり、その半数は子供である。2011年の段階で、国連は「(陸、空、海による)ガザ封鎖は基本的人権の否定であり、国際法に反し、集団的懲罰に等しい」と指摘した。当然のことながらその時点ですでに、ガザ地区は高水準の貧困、栄養失調、失業に苦しんでいた。しかし今、ガザは完全な封鎖にさらされている。
この戦争の最初の4日間で、イスラエルはガザに2300発のロケット弾を投下した。多くの病院、学校、モスク、古代の教会がイスラエルによって粉々に爆撃された。ガザにはミサイル防衛システムやそれに類するものがないため、イスラエルの砲撃に対して無防備なのだ。
完全封鎖の一環として、イスラエルは電気と水を遮断し、食料の供給も断っている。リアルタイムで破滅的な人道危機が展開されている。それは、国際法とジュネーブ条約にも反している、集団的懲罰のためにである。それでいて、話がウクライナ紛争に及ぶと、ヨーロッパのプロパガンダは、水と電気を遮断することを「純粋なテロ行為」だと叫んでいるのである。
「本当のカタストロフィー」
ガザ地区に滞在中のパレスチナ人政治学者、ムスタファ・サワフ氏はスプートニクに対し、ガザ地区内の人道的状況は急速に悪化しており、危険な状況になりつつあると語った。最悪の状況は医療であり、消耗品や医薬品の不足が深刻で、人々は治療を受けておらず、例えば腎臓の透析治療は行われていない。現在、負傷者の数は6000人を超えており、このまま増え続ければ、本当のカタストロフィーになる。
「断水と停電は、終末的な状況に拍車をかけている。 生活のあらゆる分野で電気が必要だ。電気と水がなければ、病院は機能しない。 アラブ諸国、イスラム組織、人道支援組織は、イスラエルに電気と水を復活させ、(エジプトとの国境にある)ラファ国境検問所を通る人道物資のための安全な通路を開くために、できるだけ早く行動しなければならない」
焦土と化した土地
ガザ地区のパレスチナ人アナリストで、「対話のための国際関係フォーラム」会長のシャルハビル・アル・ガレブ氏はスプートニクに対し、イスラエルは焦土戦術を用い、ガザ地区を「ヒステリックかつ前例がないほど」爆撃していると語った。
「住宅街への残忍な砲撃、インフラへの標的を定めた破壊は、イスラエルがパレスチナに復讐していることを示している。米国がイスラエルに対してオープンに支持を表明する中、エジプトやロシアのような主要国が仲介国に加われば、と思う」
24時間以内の避難
イスラエルはガザ地区北部の住民に対し、24時間以内にガザ南部へ避難するよう警告を発した。13日、国連のステファン・デュジャリック報道官が明らかにした。
デュジャリック報道官によると、対象となるのは110万人。ガザ地区の人口は200万人以上にのぼり、住民の半数が警告対象となっている。
また、現地の学校や医療機関に展開する国連職員も避難の対象となっているが、国連はこうした人道活動を移転すれば「壊滅的な人道的結果を生む」と指摘している。
時を同じくして「タイムズ・オブ・イスラエル」紙は、イスラエル国防軍が、ガザ地区北部からのパレスチナ人の避難が24時間以上に及ぶ可能性があることを認めたと報じた。
「避難には数日かかると認識しているので、時間を割いて、多くの労力を費やしている」
これに先立ち、CNNは、イスラエルがパレスチナ市民をガザ地区からエジプトに避難させる交渉を進めていると報じた。イスラエルの皮肉な提案は、民族浄化を思い起こさせる。またこの提案は 「我々はあなた方の家を爆撃するつもりだから、家を出て難民となり、他の国に逃げて二度と戻ってこないでください」と言っているようなものである。
関連記事