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太陽光を利用して月に道路を建設する方法が考案される

ドイツの研究チームは、太陽光を集光することによって危険な月の塵の除去と、月の表面に道路や着陸地点を建設するという、2つの重要な問題を同時に解決できることを発見した。
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米航空宇宙局(NASA)の有人月探査「アルテミス計画」は、2025年以降に有人月面着陸を目指しており、2030年までに初の月面基地の建設を完了する計画。一方、これまでの米国の月への飛行が示したように、月の塵(信じられないほど鋭いエッジを持つ小さなレゴリス粒子)が月探査への重大な障害となる可能性がある。
低重力状態にあるこれらの硬くて鋭い塵の雲は、ほんの少し触れただけで舞い上がり、機器や装備だけでなく宇宙服にも損害を与え、さらには宇宙服の内部に侵入する可能性もある。したがって、月ミッションを成功させるためには、まず、月の塵の問題を解決しなければならない。
研究チームによると、あらゆるところに入り込む月の塵の拡散を大幅に減らす最も簡単な方法は、硬い舗装の道路や着陸地点を建設すること。一方、月面にインフラを構築するために地球から資材を運ぶには多額の費用を要するため、現地の資源を利用する方法を開発しなければならない。ドイツの研究チームは、まさにこの課題を解決することに成功した。
火星の表土に宇宙飛行士の血液を加えて「コンクリート」素材に
月表層土、いわゆる月の塵は非常に高い温度で溶かしてから冷却すると硬い物質に変化できる。ドイツの研究チームは、これを用いて月の塵から耐久性のある構造物をつくることができる高温溶解方法を開発することに成功した。研究チームは実験室環境で、集光された太陽光のような高温をつくりだすビーム直径100mmの12キロワットのレーザーと、月の塵を見事に模倣する微粒子素材EAC-1Aを使って実験を行った。
高温溶解で得られた硬い構造物は、月のインフラ建設の材料となるのに十分な強度を有することがわかった。研究チームは、このような技術は月でも再現できると主張している。このためにレーザーを月に送り届ける必要はなく、太陽光の集光器として機能する、面積が約2.37m2のレンズを持ち込むだけで十分だという。発案者たちは、必要なサイズのレンズを月に送り、そこで地上実験を再現する必要があると述べている。
これより先、ロシアの学者は人間が月で暮らせる期間について語った。
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