戦闘経験豊富な抑止力 韓国に初着陸の米爆撃機B52が公開

米軍の核兵器搭載可能な戦略爆撃機B52が19日、韓国中部・清州(チョンジュ)の基地に初めて着陸し、内外の報道機関に公開された。日韓各メディアが伝えた。北朝鮮に対する抑止力として核戦力を見せつけた形だが、北朝鮮側は「最初の消滅対象」と対抗する論評を発表している。
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NHKによると、B52はソウル近郊での展示飛行や米韓軍事演習にも参加。19日には韓国制服組トップが基地を訪れ、「北が核兵器を使えば、北の政権は終わりを迎える」と威嚇した。韓国軍はB52の飛来が「拡大抑止の実効性を高める」ものだと評価している。
また、22日ごろには、B52と韓国空軍、日本の航空自衛隊による日米韓共同演習も実施される予定となっている。
一方、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は20日、米国の「傀儡地域(韓国)」に飛来したB52は「最初の掃滅対象になる」とする論評を掲載。米国の意図的な「核戦争挑発策動だ」と反発し、「軽挙妄動の後には、取り返しのつかない後悔が伴う」と警告した。
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経験豊富な抑止力

長距離戦略爆撃機B52は、現在米空軍が持つ戦略爆撃機のなかで最も歴史が長い。改良型のB52Hは60年以上前の1962年から運用されている。58機が今もなお現役で、18機が備蓄として保管されている。

ベトナム戦争

米国による過去の軍事作戦では、B52が盛んに使用され、大規模爆撃でその有効性を証明した。ベトナム戦争時のアーク・ライト作戦では、わずか7年間の間におよそ12万6000回の飛行を行っている。

また、国立米空軍博物館によると、同じくベトナム戦争時の「オペレーション・ラインバッカー2」では12日間で729回の飛行を行い、北ベトナムに15トン以上の爆弾を投下した。そして「ベトナム人らを交渉のテーブルに戻すのを助けた」と自画自賛している。
B52の爆撃で地面に空いた大きな穴(ベトナムのカンボジア国境付近)

湾岸戦争

1991年の湾岸戦争では、イラクやクウェートへの戦闘作戦中に、地上目標を攻撃するために使用された。対空ミサイルに脆弱な亜音速機であるため、イラク側の対空防衛システムが無力化された後に投入された。B52は定期的に飛行を行い、1日に400トンの爆弾を投下した。
デザートストライク作戦で輸送機KC135から空中給油を受けるB52(1991年2月)

デザートストライク作戦

1996年9月2、3日には、デザートストライク(砂漠の打撃)作戦と称して、B52Hはグアムの飛行場から飛び立ち、34時間にわたる往復2万5760キロの飛行を行った。この作戦ではイラクの首都バグダッド周辺の通信施設などを、13発の空中発射型巡航ミサイルAGM86Cで攻撃した。

ユーゴスラビア空爆

空中発射型ミサイルを搭載した7機のB52がセルビア軍の防空網に攻撃した。その後、通常爆弾やMk82、クラスター爆弾といった航空爆弾による大規模空爆を実施。数千人ともいわれる民間人を虐殺した。
そのほか、B52はアフガニスタン紛争(2001~2021年)、イラク戦争(2003~2011年)、シリア内戦(2011年~)でも使用されている。
米軍のアフガニスタン空爆後に立ちつくす「国境なき医師団」の職員男性(2015年)
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